フィールドバランシングのための影響係数法
定義: 影響係数とは何ですか?
アン 影響係数 は、既知のアンバランスに対するローターシステムの応答を表す複素ベクトル(振幅と位相角の両方を含む)です。具体的には、補正面上の特定の位置に既知の試験用重りを追加した際に、特定の測定点における振動の変化を表します。簡単に言えば、この係数は「このサイズの試験用重りをこの角度で配置した場合、ベアリングにおける振動はこの方向にこれだけ変化した」ということを示しています。
この方法は、ローターの複雑な物理的特性 (質量、剛性、減衰など) を知らなくても正確なバランス調整を可能にするため、現代のフィールドバランス調整の基礎となっています。
影響係数法はなぜ効果的なのでしょうか?
この手法の強みは、機械を「ブラックボックス」として扱う点にあります。ローターを理論的にモデル化するのではなく、実際の試験を用いてシステム固有の応答を直接測定します。主な利点は以下のとおりです。
- 高精度: ベアリング剛性、サポート構造の柔軟性、空気力など、システムの実際の動的効果をすべて考慮します。
- 汎用性がある: これは、剛性ローターと柔軟ローターの両方における単一平面および複雑な複数平面のバランス調整問題に同様に有効です。
- 分解不要: これは現場またはフィールドでのバランス調整の標準であり、通常の動作負荷と温度の下で、最終的に設置された状態で機械のバランス調整を行うことができます。
単面バランス調整手順(ステップバイステップ)
単純な単面天秤の場合、影響係数法は明確で論理的なプロセスに従います。
- 初期実行(実行 1): 機械が通常の運転状態にある状態で、ベアリングにおける初期振動ベクトル(振幅A1、位相P1)を測定します。これは、元の不釣合い(O)によって引き起こされた振動を表します。
- トライアルウェイトラン(ラン2): 機械を停止し、修正面上の既知の角度位置(例:0度)に既知の試験用重量(T)を取り付けます。
- 新しい反応を測定する: 機械を始動し、新たな振動ベクトル(振幅A2、位相P2)を測定します。この新たな振動は、元の不釣合いと試験用重量の影響(O+T)のベクトル和です。
- 振動の変化を計算します。 バランス計はベクトル減算 (A2 – A1) を実行し、試験重量のみの効果を表すベクトル (T_effect) を求めます。
- 影響係数(α)を計算します。 影響係数は、試験重量の影響を試験重量自体で割ることによって計算されます。 α = T_効果 / Tこのベクトルは、不平衡単位あたりの振動応答(例:1グラムあたりmm/s)を表します。
- 必要な修正を計算します。 元のアンバランスを打ち消すには、初期振動(-A1)と正反対の振動ベクトルを生成する補正ウェイトが必要です。必要な補正ウェイト(W)は次のように計算されます。 W = -A1 / α.
- 修正をインストールして検証します。 試験用ウェイトを取り除き、計算された補正ウェイト(W)を恒久的に取り付けます。最終運転を行い、振動が許容レベルまで低減されていることを確認します。
マルチプレーンバランス
同じ原理は2面バランス調整や多面バランス調整にも適用されますが、計算はより複雑になります。2面バランス調整の場合、本装置は4つの影響係数(面1の重量が両ベアリングに与える影響と、面2の重量が両ベアリングに与える影響)を計算します。そして、一連の連立方程式を解き、両面の適正な重量を求めます。この強力な機能により、ほぼあらゆるタイプの回転機械に使用できます。
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